空間の接点と緩衝
医院の老朽化と借地契約の満了を機に移転を決断された眼科医院。施主様からは、規模の縮小、動きやすい医院、水槽を置きたい、という要望を承っていた。規模の縮小というと、少しネガティブな印象を持ってしまいがちだが、単に縮小するのではなく、既存の医院にとって不要だった要素を他の空間に置き換え、新たな付加価値を持った医院を計画することとした。そこで、水槽や植栽などの自然的な要素を付加価値として用いる事で、治療を提供するだけでなく、町の人たちに安らぎも提供できる医院ができないかと考えた。医院機能としての動線を考慮し、水平的な繋がりに重点を置いた平屋の計画。そして、内外や空間同士の接点に水槽や中庭、テラス(外待合)を配置し、ゲート状のデザインで、それらの機能を強調させた。それらは、バッファーゾーンとしての役割を担い、医院空間に柔らかい印象を与えた。会話が楽しめる場所になったり、様々な色の魚を観賞したり、植物の成長を楽しんだりと、医院に来ることが少しでもストレスにならないようにと思い、今回の提案を行った。